山梨の考古学博物館では定期的に製作体験イベントをやっており、中でも年に1-2回だけ青銅器の製作体験があります。これまで青銅剣、銅鐸も作らせていただいていて、今回青銅鏡の制作体験があるとのことで早速申し込み。2人で申し込んだら幸運にも2人とも当選。本来は大人向けの製作体験ですが父母共に参加になるので子供の同伴も相談したら了承いただき、無事工作好きな次男の追加労働力を確保(笑)。
朝9時開始で、まずは歴史的背景の理解から。今回作るのは2世紀頃の中国で作られた「位至三公銘帯双雲紋鏡」というものだそうで、直径約9cm。これを大きく分けて①型造り、②鋳込み、③磨き、の3つの工程でつくります。このうち高温の金属を扱う②鋳込みは見学のみで、それ以外を体験させていただけます。
講義の後はいよいよ体験ですが、最初にスタッフの実演を見てから作業に入ります。
元になる鏡を板の上に置き、離型剤をまぶしたのちにその上に木枠を置いて砂を乗せていきます。トンカチで圧をかけながら固めていき、最後に炭酸ガスで砂を固めます(水ガラスのまぶされた、特殊な砂だそうです)。
これを表裏両方行ったら一度型取りした銅鏡を取り出します。その後銅を鋳込む穴と空気抜きをする穴の合計4つの穴を開け、穴から型取り部への流入溝を掘り込みます。ふたたび木枠を万力で挟み込めば鋳型の完成です。
実際には型になる銅鏡を剥がすときに表面のパターンに砂を持っていかれたりしてやり直したして、なかなか大変な工程です。
鋳型作りと並行してスタッフの方が銅を溶かしており、参加者全員分の鋳型の準備ができたところでいよいよ鋳込みが始まります。 なお青銅とは実際には銅と錫の合金で、錫を混ぜることで融点・粘度が大幅に下がるために鋳込みしやすくなります。作業場でも射込み前に錫を足して一気に溶解させるというやり方をしていました。
その溶けた銅を先ほど作った鋳込み穴に一気に流し込み、空気抜き穴からどうが出てくるまで流し込みます。なかなかこうした溶融して赤熱を発する金属を見る機会は少ないので興味深い。
この後触れるまで冷えるのに1時間かかるため、ここで昼食休憩。近くに美味しい蕎麦屋があるのでそこでしばし人間もクールダウン。ちなみにこんな暑い真夏に何故さらに暑くなる金属溶解作業をするかというと、逆に冬にやると早く冷えすぎて銅鏡が割れやすいらしく、暑い夏の方が収率が良いそうです。
さて昼食後は鋳型からの取り出しからスタート。万力を外してトンカチで慎重に砂の鋳型を割っていきます。うまく割れると中からはきれいに型取りされた銅鏡が出てくる…と思いきや、まだまだ砂が鏡の装飾部分の溝に埋まってて何これ状態。これをグラインダーで削り出すとしっかりパターンが転写された銅鏡が取り出せました!
合わせて鋳込み穴と銅鏡の接続部の切断とラフな機械磨きをしていただいたものをいただき、ここからひたすら磨き。ちなみに青銅という名前は錆びると緑青で青くなることからの名前ですが、鋳込み直後はこのように金色をしています。
粗い紙やすりから始め、細かいやすりであらかた傷が消えたら最後に機械でバフ磨きしていただいたら最後に研磨液で磨きます。最後の工程で一気に裏面が鏡面になるのは感動的です!
…なお文章だとさらっとになりますが、この磨き工程がとにかく長く、次男坊連れてきて良かったと思える工程でした。何かに目覚めた次男坊はせっせと鏡を磨いてくれ、だいぶ楽させてもらいました😁!